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最終更新日:2025年12月8日

宇宙における超えられない速度:エネルギーが無限になるとき

真空中を伝播する電磁波

物理学の法則に刻まれた普遍的定数

宇宙には、あらゆる物質や情報に適用される超えられない速度限界があります。 この制約は特定の力から生じるものではなく、物理学の基本法則が記述する時空の構造から直接導かれます。

電磁気学的起源と波の速度の理論的計算

1873年、ジェームズ・クラーク・マクスウェル(1831-1879)は、1861年に始めた最終論文「電気と磁気に関する論文」を出版しました。 この論文は、電磁気学に関する彼の全理論を総合し、真空中を伝播する波の存在を予測しました。

これらの電磁波の速度は次の関係式で与えられます: \( v = \frac{1}{\sqrt{\varepsilon_0 \, \mu_0}} \) ここで、\(\varepsilon_0\)は真空の誘電率、\(\mu_0\)は真空の透磁率を表します。 この方程式は、速度\(v\)が真空の固有の性質であり、物質の輸送速度ではないことを示しています。 これは真空中の光速の値、\(c\) = 299,792,458 m·s-1を正確に与えます。 光速を\(c\)で表すことは、アルバート・アインシュタイン(1879-1955)が1905年の特殊相対性理論の研究で普及させました。

マクスウェルの時代、\(\varepsilon_0\)と\(\mu_0\)の正確な値は現在ほど精密に定義されておらず、計算された速度は近似値に過ぎませんでした。 マクスウェル自身がこの速度を当時知られていた光速の測定値と比較しました。 1862年、レオン・フーコー(1819-1868)は、鏡と歯車を組み合わせた巧妙な装置を用いて、光速を高精度で測定することに成功しました。 彼は約298,000 km/sという値を得ました。 マクスウェルはこの一致に着目し、光が電磁波であることを示唆しました。

N.B.
真空の誘電率 (\(\varepsilon_0\)) は、真空が電場を「受け入れる」能力を特徴づける物理定数です。 これはファラド毎メートル(F·m-1)で表され、クーロンの法則やマクスウェル方程式に現れます。
真空の透磁率 (\(\mu_0\)) は、真空が磁場に対する応答を特徴づけます。 これはヘンリー毎メートル(H·m-1)で表され、アンペールの法則やマクスウェル方程式に現れます。

特殊相対性理論と速度限界

1905年、アルバート・アインシュタイン(1879-1955)は、この速度がすべての慣性観測者に対して同じであると仮定し、特殊相対性理論を確立しました。

この理論では、質量\(m\)の粒子が速度\(v\)で運動するときの全エネルギーは次のように表されます: \( E = \gamma m c^2 \) ここで、\(c\)は光速、\(\gamma\)はローレンツ因子 \( \gamma = \frac{1}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} \) です。

したがって、\(v\)が\(c\)に近づくと、因子\(\gamma\)は急激に増加し、無限大に発散します(\(\gamma \to +\infty\)):

\(\gamma \approx 70710\)に必要なエネルギーの例

\(\gamma \approx 70710\)となるような速度で移動する1 gの物体の全エネルギー:\(E = \gamma \, m_0 c^2\)は、 \(\approx 6.35 \times 10^{19}\ \text{J}\)になります。 つまり、1 gの小さな物体でも、地球全体が約1か月間消費するエネルギー全てが必要となります。

この莫大なエネルギーは、静止質量を持つ非常に小さな物体であっても、\(c\)に極めて近い速度に達するためには、事実上不可能なエネルギーが必要であることを示しています。 したがって、速度\(c\)は単なる速度限界ではなく、静止質量を持つあらゆる物体にとって超えられないエネルギーの壁として現れます。

光子は静止質量を持たない(\(m_0 = 0\))ため、そのエネルギーは運動量(\(E = pc\))に完全に関連付けられています。 相対性理論の枠組みでは、この関係は光子の速度が必然的に\(c\)であることを意味します。 光子はこの速度を下回ることも超えることもできません。なぜなら、どのような変化もエネルギー、質量、運動量を関連付ける相対論的方程式に違反するからです。

光速に関連する方程式の表

最大速度に関連する基本方程式
物理的文脈方程式意味参照
電磁気学\( v = 1 / \sqrt{\varepsilon_0 \mu_0} \)電磁波の伝播速度ジェームズ・クラーク・マクスウェル
特殊相対性理論\( \gamma = 1 / \sqrt{1 - v^2/c^2} \)時間の遅れとエネルギーの増加アルバート・アインシュタイン
質量とエネルギー\( E = m c^2 \)質量とエネルギーの等価性アルバート・アインシュタイン
相対性理論と光子\( E^2 = (m_0 c^2)^2 + (pc)^2 \)\(m_0 = 0\)の場合、\(E = pc\);光子の速度 = \(c\)アルバート・アインシュタイン

参照: NIST - 基本物理定数, Royal Society Publishing.

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